• 新井 千鶴

雑草から考える経営戦略とは



↑画像はヒメシバ



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事務所の草引きは、私にとってリラックスタイムです。除草剤は土地を汚しそうなので使っていません。基本は、一本一本根から抜きますが、根が固くて取りにくい場合は、地上部分を刈り取ります。


雑草の繁殖力は驚くべきもので、数か月放置していると、その土地の支配者のごとく生い茂り、雑草帝国を作ってしまいます。濃密に生い茂ると、人はその土地に入るのをためらい、有効利用できなくなるので、主権を本当に取られたようなものです。


タネをまいていないのに、どうして何度も何度も生えて来るのだろうと疑問を感じますが、草引きをしながら、草たちが花を咲かせ、実をつけるサイクルを見ていると、遺伝子を次世代に継承させていく生命の力強さを感じます。雑草の定番の一つ、ヒメシバを抜こうとしたら、穂先からパラパラとタネが周囲に落ちていきました。(ちなみに、ヒメシバの花言葉は「侵略者」だそうです。)



雑草の繁殖力を見ていると、企業の経営戦略で学ぶべきものがあるような気がします。ここでは、4つ挙げてみたいと思います。


一つ目。地下茎が伸びて、各地に葉を出し、スパーク花火のような実をつける雑草があります。タネをまさに花火のように飛び散らかすのでしょう。名前は調べたけど分かりませんでした。抜いても地下茎が残るので根絶できない手ごわい雑草です。このタイプは、地下茎でつながりあって、地上に規格化された同じ葉や実を出してくるので、フランチャイズ経営のように感じます。


二つ目。一定エリアを同種の雑草で覆いつくす様は、Aチェーンストアが地域限定で集中出店し、「〇〇と言えば、A」というように地域の人々の意識を独占し圧倒的首位を取る「ドミナント戦略」を彷彿とします。ドミナント「dominant」は英語で「支配的な、主要な、優勢な」という意味だそうです。前述のヒメシバも、周囲を覆いつくすドミナント雑草ですが、根から他の植物の成長を阻害する物質を出している(アレロパシーというそうです。)と書いてありました。種の繁殖プログラムの恐ろしさを感じますが、実際のビジネスでは、他社の成長を阻害するコンプライアンスに抵触する行動は許されません。


三つ目。地表から見ると、水気のないカラカラの土地にも雑草が生えている。土地を軽く掘っただけでもカラカラなのは地表であって、地中には水気を感じます。だから、数日か数十日か分かりませんが、長きに渡って地中から少しずつ水気が地上に上がってくるのでしょう。これは、厳しい経営環境の中で、必死に営業してやっとつかんだ需要の湧き出し方とも通じる部分があるのではないかと思いました。



四つ目。雑草を抜いていると、根の張り方が尋常でないことに気付くことがあります。網の目のような根っこは土をいっぱい蓄え、まさに大地に根を下ろした状態。土を振るい落とそうとしても、落ちる土はわずかで、大半が根だったことも。そのとき、私は感じました。私が土地だと思っていたものは、もしかしたら、植物の根だったのかもしれないと。


これを企業の経営戦略に結びつけると、根は企業文化という気がしました。企業文化が分厚い企業は、それが土台となって企業を、人を、事業を支えている。社会を土地となぞらえれば、分厚い企業文化は土地と一体化しているようです。それが根っこだと気付かないぐらい、ゆるぎない存在感で。


事務所の草引きをしながら、考えたこと、あれこれでした。