• 新井 千鶴

履歴書の様式例から性別欄が消える話



7月17日に日本規格協会が履歴書に関するリリースを出しました。

JIS Z8303「帳票の設計基準」の解説に掲載されていた「履歴書の様式例」を削除した、というものです。

この「削除」が意味するところは、様式例には男女の性別欄があり、トランスジェンダーの方に必要のない精神的苦痛を与えていたので、性別欄を削除して改めるというものです。


労働問題に取り組むNPO法人「POSSE」が1万人超の署名とともに同協会に求めていた削除要求に応えたものでした。


現在、各社から販売中の履歴書には「JIS様式例準拠」や「JIS規格」、「JIS対応」の表記が多いことからも分かるように、各社はJISに準拠することで項目の妥当性を裏付けています。


今回のJISの様式例の削除は少なからず各社に影響を与えるでしょう。


8月22日の日本経済新聞によると、文具大手のコクヨは性別欄のない履歴書を発売する方針を明らかにしているそうです。


性別欄の削除の意味は、トランスジェンダーの方のみではありません。


性別によって採用が決定されないという男女雇用機会均等の考え方は、すべての人にとって意味のあるものだと思いました。


このブログを書きながら、人権情報ネットワーク「ふらっと」のケント・ギルバートさんの2002年のインタビューを読みました。


そこには、米国では履歴書に既成の書式はなく、応募者が自分をアピールするためにどんな紙に何を書くか考えて作成するものであり、性別はもちろん書かないし、性別や人種が分かってしまうので写真も貼付しない、ということが書かれていました。


もし応募者が履歴書に写真を貼付したり、性別を記入して企業に送付してしまうと、企業は書類審査で面接対象からその人を外すのだそうです。


なぜなら、性別や人種を知った上でなされた決定は、採用してもしなくても性別や人種によって判断されたと不服請求を起こされる可能性があり、企業はそのリスク回避のために性別や人種を知らない状態で判断をするのだそうです。


人権意識の一端を感じるエピソードだと思いました。


日本と米国はいろいろな面で違いがありますが、日本でもJISの様式例の削除を機に、性別によらない採用が広がっていくとよいと思いました。